Keyes（カイス）の3つの輪とは、むし歯が発生するために必要な3つの主要因（宿主・歯の質、細菌、糖質）が重なることを模式的に示した概念です。具体的には「歯質（歯の強さ、唾液の質など）」「細菌（むし歯菌の数・種類）」「糖質（砂糖などの摂取頻度と量）」が同時に作用することでむし歯が発症すると説明され、近年ではこれに「時間」が加わり「4つの輪」として説明されることも多いです。

Keyesの3つの輪（むし歯の3大要因）

    歯質（宿主条件）:

    歯の質（エナメル質の強さ、カルシウム含有量）、歯並び、唾液の量や質（緩衝作用）など、個人の生体側の要因。

細菌（病原菌）:

プラーク（歯垢）中のむし歯原因菌（ミュータンス菌など）の数や活動性。

糖質（食べ物）:

むし歯菌のエサとなる糖質（砂糖など）の摂取頻度や量。飲食のたびにプラークが酸を作り出す。

4つ目の輪「時間」

    これらの3つの要因が作用する「時間」が長く続くほど、むし歯のリスクが高まります。特に飲食の回数が多い、寝る前に飲食するなど「時間」が加わることで、むし歯発生のメカニズムがより明確になります。

むし歯予防の考え方

    Keyesの輪の概念は、これらの輪の重なりをなくす（各要因を減らす）ことがむし歯予防につながるという考え方に基づいています。例えば、歯磨きでプラーク（細菌）と糖質を除去する、フッ化物で歯質を強化する、だらだら食べをやめる（時間短縮）などが予防策となります。